仮説検証能力

生産財マーケティングの営業マン研修でも、リテールでのマネジメント研修でも、仮説検証能力を付けることが重要だとよくいわれます。でも、仮説検証能力とは何でしょうか?


仮説には大きくいって2つあります。1つは、戦略オプションやマーケティングプランを立案する際に、事実では押さえられない「前提」となる仮説(ここでは「前提仮説」と呼びます)、もう1つは、事実と前提仮説から導き出された「結論」そのものです(例えば、戦略オプションやマーケティングプランなどで、ここでは「結論仮説」と呼びます)。


この2つは似ているようで異なっており、身に付けるプロセスにも違いがあります。例えば、「前提仮説」を構築する力は右脳を使った「気付き」に依存します。フレームワーク分析や、ギャップ分析などの習熟・反復を通して鍛えることができます。「結論仮説」構築力は、左脳を使った論理性に依存します。落語の「風が吹けば桶屋が儲かる」※のように論理が飛躍しないよう、論理思考を高めるファシリテーションロジカルシンキングを通して鍛えることが出来ます。


但し、「結論仮説」構築力をいくら鍛えても、何も気付かないような低い感性のままでは、単に批評家や、言い訳屋を増やすだけで何にもなりません。「気付き」「論理性」は車の両輪です。加えて、それらの能力を前向きに使おうという「動機」というエンジンがあればビジネスの車は動きます。これらの仮説を構築する力があれば、検証は結果を通して必ず検証できます(但し、コストの大きい「結論仮説」の場合には、着手する前に「前提仮説」を市場調査などで事前検証しておくことはいうまでもありません)。


貴社には「気付き」を鍛える仕組みがありますか?「論理性」を高める仕組みがありますか?何の仕掛けもせず、ただ、仮説検証能力がないと嘆いていませんか?


※脚注:落語の一節で、「風が吹けばほこりが舞い、ほこりが舞うと目にゴミが入り盲目の人が増え、盲目の人が増えると三味線弾きが増えるので、三味線の原料でである猫の皮が大量に必要になり、猫が減る。猫が減るとネズミが増え、ネズミが増えると桶をかじるので、桶の売上が増え桶屋が儲かる」という話。