食品スーパー「エース級」の会議

以下はファシリテーション(司会術)を議論する際に使うケースです。このケースを読んで、司会者はどこでどのようなコメントを発すべきかについて職場で意見交換してみてください。


食品スーパー「エース級」では、野菜、肉、魚の具材のほかに、インスタント食品、飲料といった加工食品、惣菜、それと単身者向けに昼と夜のお弁当を作って販売していた。


司会者:うちで販売しているお弁当について、来シーズン(夏)の商品開発テーマについてご意見を伺いたいのですが。


具田(参加者):私はたまにマクドナルドに行ってもフィレオフィッシュしか食べないんですよ。それにコンビニには魚のサンドイッチはない。何でないのか、ってね。それで、以前、うちで鯛めしを作ってって言ったら、おかしなそぼろみたいなものになって出てきた。でも魚を使いたい。で、この前、魚を使ったものを開発しろって事で今度はふぐに挑戦したんですよ。ふぐ鍋、1SKU(在庫管理単位)あたり2個なのを、5個にしようって。このふぐがまたあまりにも貧相で売れなかったな。


喜連(参加者):牛丼でしょう。BSEで吉野屋も牛丼を止めているぐらいだから、ここでやるべきでしょう。


具田:僕の年(50歳)だと肉は食わん。魚がいい。


喜連:うちの弁当を買うのは独身者ですよ。そりゃ50歳台の単身者もいるにはいるでしょうが、ボリュームゾーンは20歳代の若者ですよ。いま、ファーストフードで牛丼が減っているのだから、ここでおいしい牛丼を出せば、受けますよ。


道筋(参加者):毎年シーズン毎、テーマお弁当を出しているが、そろそろ、やめにしてはどうだろうか。嗜好の多様化といっているが、本当は、売る側が多様化させているのではないだろうか。むしろ、定番商品を作った方がお客が来るようになるのではないか。吉野屋は長く牛丼一本で成長できたじゃないか。


具田:若い人だって、今は健康ブームなんだ。魚がいいに決まっている。


道筋:テーマ弁当ではなく、おいしい「定番弁当」を作って、エース級の○○はうまいよなっつってお客が集まるようなお弁当つくりをしようよ。カップヌードルや、きつねどんべえみたいに長く愛される商品を作れば結局、それが一番店の魅力作りになるのではなかろうか。


喜連:牛丼なら定番商品になると思いますよ。オージービーフを使って、おいしいのをみんなで作ってみよう。


道筋:マグロ丼とか、ネギトロ丼とかもいいと思うよ。いくつか定番できそうなもので、うちの具材でどんなにおいしいものができるかやってみよう。多少値段がはってもいいものを作ろう。


具田:そうだよ。魚だよ。独り者用の小鍋セットみたいなのもいいと思うな。


喜連:夏なんだから、魚でうまい弁当なんて無理でしょう。それよりは火を通した肉料理の方がいいですよ。


道筋:別に夏だけのことを考える必要はないよ。通年を通じて定番でき、エース級の看板になるような弁当ならいいと思うよ。


司会者:さてそろそろ、決を採りたいと思いますが、牛丼がいいですか、マグロ丼がいいですか、ネギトロ丼がいいですか…。