Dackスポーツの集中戦略のケース(考え方編)

前回、掲載したDackスポーツのケースについて(ご覧になっていない方はhttp://d.hatena.ne.jp/xuccess/20050121を参照ください)、簡単に考え方をお話したいと思います。

この短いケースでは、「事実」として確認できない点がいくつかあるので、常識的な範囲で「仮説」を置いて考えます。「仮説(前提)」:シェア5%ということはメーカーとしてコスト競争力は低い、左利き市場は5%はあり、今後10%ぐらいまで拡大するなど。


これらを前提に考えた場合、左利きクラブメーカーに集中することはあながち悪いことではありません。他がやっていない市場を見つけ、そこに集中する。集中戦略そのものです。問題はこの戦略は長く勝てるだろうかという点です。


左利き市場が有望な市場とわかれば、ブリヂストンやミズノ、プロギア(横浜ゴム)などの大手が参入してくるでしょう。その時、Dackはどんな武器で戦うのでしょうか?左利きクラブを作るコスト、クラブブランドを作るコストは右利き用のそれを転用できます。つまり、Dackが集中した左利き市場に固有のコストが少なく、右利き用と共有されるコストが非常に多い市場といえます。こうした市場(固有のコストが低く、共有コストが多い)に集中した場合、大手企業にひっくり返されるモルモットになる可能性が非常に高いといえます。


集中するという判断をしたのならば、先行している間に固有コストを高める努力をする、そうでなければ他の道を探す必要がありそうです(結論仮説)。