パラダイムシフト 3

3.Counterforce(カウンターフォース-変革のブレーキ解除)


プロモーションと平行して行なうのが、”Counterforce”(反対勢力) Managementのプロセスである。


“Counterforce”には3つの態様があり、3つのコントロールの方法がある。


一つ目は、変革当初から存在する「反対勢力の解散」である。反対勢力とは、トップの対抗勢力や大きな既得権益を持った社内保守党がその代表で、変化を嫌うその他大勢の人を糾合して、やがて、変革の大ブレーキとなる。彼らを野放しにしていると、トップの行動や発言の重みそのものを失わせ、折角変わろうとしているものも、失敗をしたり、報酬が下がったり、そういうちょっとしたきっかけを通じて、反対勢力に転じてしまうことがよくある。反対勢力の要人はすみやかに排除されるべきである。名誉を奪わないまでも、実権から遠ざけ、トップが徹底的に対峙する覚悟であることを示し、「親」変革勢力の勢いを消さず、表だった反対勢力をすべて封じ込める必要がある。


2つ目は、「潜在的反対勢力の分散」である。反対勢力が封じ込められているため表立った行動こそしないが、親変革派でもなく、なにか少しでもプラン通りにいかないとむくむくと頭をもたげ、変化を嫌う層を糾合してしまう力を持った層である。「潜在的な反対勢力」の要人は分散させ、さらに変革の重要部分の責任を持たせることである。彼ら自身がやらざるを得ない状況を作り、反対勢力の集中を防ぐのである。


そして3つ目が、「反対エネルギーの発散」である。そもそもここでいう変革とは価値観の変更であって、“Conflict”なしに穏やかに実現できる方が少ない。そのため、予め予想される、従業員の固執しそうな価値観と、対峙するあるべき価値観を定義し、組織上、そのあるべき価値観を守るべき立場を意図的につくり、人為的に“Counterforce”を生じさせる。その結果生じた“Conflict”をトップ自らが平定することで価値観をあるべき方向に収斂しようとするもので、このことによってことによって人々は、自分の価値観を思う存分ぶつけ、それがトップに蹴散らされることで、反対するエネルギーをなくさせることができる。(続く)