日本企業の強さ

日本企業の強さのひとつは商品開発力にある。そしてその商品開発力の背景には、小さい差異にこだわり、細かな注文をつけるうるさい消費者の存在がある。蓋し、顧客へのフィードフォワードとフィードバックに真摯に取り組む企業は商品開発力で一歩抜ける。しかし、競争のフィールドを狭い市場、つまり、日本だけ考えると、一歩先行しただけではすぐ追いつかれてしまう。そして、一歩を争う競争は過度に激しさを増し、商品サイクルを短命にする。このままではみんなが共倒れになってしまう。


アメリカでは、日本の25倍の国土が存在する。つまり、日本よりは容易に地域的なすみわけができる。各地域で発展(地域間競争で競争相手を淘汰)した産業は、日本の2倍の人口を背景に次第に大企業化できる。過当競争を廃し、すくすくと大企業化できるわけである。


ならば、日本企業はもっと地域的すみわけを考えてもいいのではないか。


つまり、日本という巨大な商品試験場で生み出された商品の収益性をその「試験場」でのみ論じるのではなく、それを世界に広げる視点で考えてはどうだろう。しかも、その際に、進出するエリアのすみわけを行ったらどうだろう。同じ家電でもアメリカに強い企業、中国に強い企業、オーストラリアに強い企業など、集中のはっきりした色分けがなされれば、どの企業も強く生き残っていけるのではないか。日本企業同士が、同じ都市に集中して世界でも日本と同じ競争の縮図を行うのではなく、地理的なフォーカスをはっきりさせた戦略があってもよいように思う。


ふぐ刺し(薄く広く)だけではなく、サイコロステーキ(狭く厚く)もあっていい。