フィリップスの変革

以下は企業変革を議論する際に使うケーススタディです。あなたはフィリップスの変革のどこに違和感を覚えますか?


フィリップスは伝統的に国別組織(国毎に開発・生産・販売の組織がある)と商品事業部別組織のマトリックス組織で運営され、国別組織と商品事業部別組織間のコンフリクト(意見対立)は両者の交渉によって解決していた。国別組織の経営陣は欧米を中心に各国の名士であり、フィリップスの中でも出世頭が国別組織に配属されていた。


1987年、フィリップスは、力を付けた日本の家電メーカーに対抗すべく、生産の集約化によるコスト競争力のアップ、商品事業部の垣根を越える情報の共有によって開発を集中し、家電などにおける技術複合商品の開発力アップという戦略を計画した。


そして、その実現のために、マトリックス組織はそのままに、それまでの国別組織傾斜型のマトリックス組織から商品事業部別組織へ力を傾斜させるマトリックス組織への変更を決め、両者でおきるコンフリクトはそれまでの伝統にのっとり、両者の平和的交渉に委ねられた。商品事業部は早速各国の生産・開発組織を引き剥がし、商品事業部の基へ集約を開始した。