勝ちパターンとしてのブランド

ブランド構築を競争優位として考える企業は多い。しかし、ブランドを構築する力とは単に広告宣伝費の大きさのことではない。


勝ちパターンとしてのブランドとは、認知度とイメージに細分できるが、宣伝広告費は、認知度と、初期イメージ(第一印象)にはある程度貢献できるが、ブランド力はそれだけでは決まらない。経験後ブランドイメージこそが勝ちパターンとしてはより重要な力であるからだ。


ブランドイメージは、5つの要素に分解できる。つまり、誰が使うブランドなのか(使用者イメージ)、どんなときに使うブランドなのか(使用機会イメージ)、どんな満足が得られるのか(ベネフィット)、どれぐらいの価格帯なのか(価格)、どんな個性を持つのか(パーソナリティ・シンボル)、の5つである。こうしたイメージは、未使用者は広告によって初期イメージができるものの、経験によって変化する。経験がよりいい方にイメージ変化を促せばよいが、初期イメージと経験が悪い方にギャップがある場合、ブランドイメージは悪い方に矯正されてしまう。たとえ、広告ではファミリーのくつろぐ店を演出しても、来ているのが不良ばかりであれば、ブランド力は地を這う。


10年前に行ったイメージアップキャンペーンによって、瞬間的に集客をアップさせた店が、いまだにそのときに不快な経験をした消費者を取り戻せずにいる現実は、宣伝広告費より経験によって伝わるブランドイメージの方が強力であることを物語る。


宣伝広告によって伝えたいメッセージと、現実の店舗、商品との悪いギャップがないかはブランドを勝ちパターンとする場合には確認すべきことであり、ブランド力を勝ちパターンとするのであれば、より現場の顧客経験接点こそ鍛えるべきものなのである。