ファシリテーションスキル(食品スーパー「エース級」の会議)

話の噛み合う会議は、効率的かつ効果的です。実際、なかなかそうしたいい会議には遭遇できません。多くは、大切な会議の時間を紙で配れば十分なつまらない報告にあてていたり、話があちこちに飛んで結局、なぜその結論に達したのかあいまいなまま終結する会議などもあります。多忙なビジネスマンが複数集まって、人間にとって最も重要な資源である「時間」を無駄にしないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。


効率的な会議:


会議が効率的であるためには、話すポイントがはっきりしていることが大事です。無駄話を1人で10分しゃべったら、その場にいた10人とって、述べで100分の時間が無駄に損なわれることになります。無駄話ではなく、ポイントのある話をするために、まず、言いたいことをはっきりさせるということが重要です。自分が何かの意志を伝えたい(メッセージがある)のであれば、まず、それを1文でいうように日々心がけて見ましょう。次に、そのメッセージがなぜ重要かを3つぐらいの理由にまとめてみましょう。4つ以上の理由はいりません。会議で取りとめもなく下らない理由を10も20もしゃべる人がいますが、だれもそんなものには注意を払いません。重要な理由付けの最初の1〜3にフォーカスしましょう。このとき、重要なことは、事実に基づく主張かどうかを意識しましょう。自分の推測を事実のようにしゃべるのは止めましょう。思うことと事実では理由付けの重みが違います。それらを区別しましょう。


組織として、効率的なビジネストークができるようになるために、まず、自らこうした文章の構成で、会議や打ち合わせ意見交換の場で話すようにしてみましょう。自分自身が慣れてきたら、部下をこうした話し方ができるように指導しましょう。こうすることで、会議は半年後には効率的になっているはずです。


効果的な会議:


ここまでできるようになったら、次のステップに行きましょう。効率的なコミュニケーションができるようになったのであれば効果を上げるコミュニケーションについても考えてみましょう。それが3番目のポイントで、打ち合わせ・会議・ディスカッションの司会者(ファシリテーター)のテーマ設定・会議のシナリオ設定ということになります。


これには2つの要素があります。一つは事前準備です。何について話すか、時間配分をどの程度にするのか、という点を最低でも用意していく必要があります。


しかし、シナリオ通りに進まないのも人と人のコミュニケーションの面白いところで、話しているうちに、臨機応変にディスカッションのテーマを広げたり、絞ったりすることが必要になります。それが2番目の要素となります。これにはかなりのセンスや慣れが必要となりますが、簡単にいうと、話している内容を2〜3次元に区分し、それらを頭の中でツリー図やマトリックス図化して、どっちの方へ向かうべきかを判断しながら進めていくことになります。慣れるまでは図は紙に書いてもよいでしょう。


例えば、最初のテーマが商品開発で、ディスカッションしている内に話が「クレームには改善提案が多いよね。」という意見が多く出てきた場合、「ではクレームについて考えましょう。クレームについて皆さんが考えていることを教えてください。」という言い方と、「だれにクレームを聞くべきでしょうか。」「どんなクレームに注意すべきでしょうか。」というようにクレームを情報ソースと内容に細分化して問い掛けた場合とでは、後者の方が的が絞れますし、議論からの抜け落ちを防ぐことができるために幅も広がります。こうした議事進行をすると、効率だけでなく効果も上がってきます。


こうした話の進め方はすぐには難しいと思いますので、まず、効率的な話し方に慣れる、事前準備でこうしたツリー図やマトリックス図を使ってテーマを論点に細分化する、後はやりながら慣れるというように、一足飛びを目指さないで少しずつ、いいコミュニケーションが進むように心がけてみましょう。