格差是正
格差是正論議が盛りあがっているが、格差是正には2つのサイドがある。
一つは、成り上がろうとするものの可能性を高める施策、もう一つは、できた格差を固定化しない施策である。
前者の中心は教育であり、後者の中心は相続財産の取り扱いである。
前者の話は今日は置いておいて、後者の話をしたい。
高齢化が進み、年金や福祉の財源を消費税に見出す方向がかなり鮮明になっているが、私はそこに再考を促したい。格差是正のためには、持っている人が多くを出すことが重要であり、持たない人にも最低限の可能性を確保する必要がある。そのために、重要なのは相続税のあり方である。
これまで、自民党政権は相続税の引き下げにこそ終始してきたが、そろそろこれを元にもどす必要がある。
例えば、ネットの相続財産(資産ー負債)が1億円以下なら無税、10億円以下なら50%課税、10億円超なら70%課税などである。これなら、自営業など相続財産を引き継がなければならない零細企業もその存続が危ぶまれることが少ない。唯一の懸念は、資産家が海外への資産移転を進めることであるが、これに対しては、諸外国と相続税に関する協定を結ぶ、相続税の水準をあわせるなどが考えられ、移転したい先進国と足並みを揃えればかなり効果がある。発展途上国に資産を移せば、発展途上国の経済も潤う。
また、奨学金や弱者救済のための財団拠出を非課税などにすれば、わざわざ資産移転をせずとも、資産家の慈善事業による再配分機能が高まることも考えられる。
安易に消費税を上げるのではなく、どんな社会を目指すのかの思想的背景を税に投影して欲しいものだ。
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