新風舎のビジネスモデル
新風舎は、出版業界に新たなビジネスモデルを展開する企業だ。
従来の出版業界のビジネスは、いい著者から出版物を預かり、それを大衆に販売することで収益をあげるモデルだ。
しかし、新風舎はちょっと変わっている。この企業の場合、年間に何回か「賞」を設定し、著作物を持つ、素人の作家を募集する。ここまではよくある話だ。異なるのはここからで、応募してきた素人の作品を受賞の有無に関わらず出版勧誘していく点だ。いい作品かどうかは関係ない。文章であれば何でもいい。著作者に美人勧誘員が、壷でも売れそうないきおいで自費出版を勧める。しかも、これが高い。つまり、作品を持つ素人に言葉巧み出版を勧め、自費出版料(つまり作家に金を出させる)を得て出版し、直営の書店に並べ、多くを著者に引き渡す。作家の負担する出版料が高額な割に出版部数は1000部以下と少ないため、在庫負担も少なく、大衆に本を売るよりは確実に収益を上げられるモデルとなっている。
重要なことは、収益を大衆からあげるのではなく、作家から得る方法へ完全に移行している点で、そのための、「賞」「勧誘員」「直営店」などのバリューチェーンを構築していることだ。
頭のいいやり方で、収益をあげる確率も高い。同様に、既存のビジネスのありようをチェックすれば他の業界でもまだまだいろんな可能性があるのではないだろうかと考えさせられる。
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